虚夢:薬丸岳
虚夢って言葉、作者の造語かと思いましたが、実際広辞苑に載ってるんですね。
事実にあわぬ夢。実際には起こらないことの夢。
総合失調症を患った男が無差別に12人もの人を殺害し、心神喪失として不起訴になった。
この事件で3歳の娘を殺され、心身ともに深い傷を負った妻佐和子との夫婦関係も崩壊し、仕事にも背を向けてしまう三上。
被害者の家族はどこに悲しみや怒りをぶつけたらいいのか・・・。
以前読んだ同じ著者の 天使のナイフ も、少年犯罪の被害者の家族の苦しみを描いたものだったと思います。
しかも、この犯人は病院に収容されたものの、4年ぐらいで社会復帰し、同じ街を歩いている。
犯人とすれ違う佐和子。
深いですねぇ〜。
最近では加害者の弁護士が心神喪失を無理矢理主張してるんじゃないかと思うような事例もありますが。
映画にもなったウィリアム・ディールの 真実の行方 をちょっと思い出したりもしました。
すごく引き込まれて、午後から3時間ぐらいで一気読みしてしまいました。
ただ、これは自分自身の読み方にも原因があるんだけど、つい推理しながら読んでしまうんです。
(この後ネタバレあります)
235ページ
「何という病気だと医者はいってたの」
「総合失調症だ」
「・・・そう。あの男と同じ病気ね」
この時確信してしまったんですよ。佐和子の考えてること。
そして、キャバクラ嬢のゆきの過去も想像してしまったんです、わかってしまったんです。
その時点で、ああこういうことなんだって、結末が見えてしまったのがちょっとだけ残念でした。
何も考えずに読んだ方がよかったなー。
でも、作家である三上が立ち直って、被害者の思いをペンで著すと決心したところ、そして佐和子とまた家庭を築いていくんだろうなぁって、最後は希望のある終わり方でよかったです。
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